
――気がつくと、俺は異世界ではなく「動画配信戦国時代」に転生していた。
「ここが……令和のサブスク世界か」
目の前には、強大な勢力がひしめいていた。海外ドラマを武器にする者、独占配信で覇権を握る者、価格を盾に民を囲い込む者――。その中で、ひときわ異質な存在があった。
その名は――DMM TV。
「月額550円……だと?」
あまりにも安い。その数字を見た瞬間、俺は罠を疑った。だが、恐る恐る中へ足を踏み入れたとき、すべてが覆る。
「なっ……アニメの数が桁違いじゃないか!」
新作アニメは当然のように網羅され、懐かしの名作たちも静かに息づいている。深夜アニメ、異世界転生、ラブコメ、ダークファンタジー――そのすべてが、ここにはあった。
まるで“アニメ特化型の王国”。
「これが……特化の力か」
さらに驚くべきは、それだけではない。2.5次元舞台、声優コンテンツ、さらにはここでしか見られぬ独自番組――。他の勢力が手を出しきれないニッチな領域を、確実に支配している。
「尖っている……だが、それが強い」
俺は理解した。この世界では「何でもある」よりも、「刺さるものが深い」方が生き残るのだと。
そして、追い打ちをかけるように告げられる。
「DMMプレミアム特典、付与完了」
「なに……?」
動画だけではない。電子書籍の割引、ゲーム特典――これはもはや単なる配信サービスではない。“総合エンタメギルド”だ。
「ここまでやるか……」
気づけば俺は、他のサービスと比較することすら忘れていた。なぜなら、戦う土俵が違うからだ。
確かに、海外ドラマやハリウッド映画では他の勢力に軍配が上がるだろう。だが、それを理解した上でなお、DMM TVは“自分の強み”にすべてを注いでいる。
それが、何より恐ろしい。
「安さで誘い、アニメで捕らえ、特典で囲い込む……完全に戦略型だ」
俺は確信した。
もし、この世界で「コスパ最強の配信サービス」を問われるなら――
答えは、ほぼ決まっている。
「DMM TV……侮れないどころか、覇権を狙える存在だな」
そう呟きながら、俺は新たな異世界――いや、“作品の海”へと潜っていくのだった。
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